飴玉が降ってきた。ばらばらと音を立てるカラフルの真ん中で呆然と立ち尽くしていたら雲の上から新羅が笑いながら「君が無くしたものだよ」なんて声高らかに言ってきた。そりゃまあ随分と色を無くしてしまったもんだと思う。「文字通り色々だね」と目を細めた友人は空っぽの白い箱を持っていた。ひっくり返したそれを、お前は一体どこから持ってきたんだ。
雲の上で見下ろしてくる新羅が腕を振る。白衣の袖から転がり落ちたのはもう一つの飴玉だった。新羅はそれを数秒見つめてから包み紙を剥がして無造作に口に放り込んだ。ガツンという音に続く破壊音。口内で粉々に砕かれていく砂糖菓子を思った。
「これは、僕が臨也から奪っちゃったものだよ」
遠慮の無い音の合間遠慮無く呟かれて、かつての付属品が胃の中で溶けていくのに顔をしかめた。それでも唇を舐めた新羅は平然と言う。
「臨也、食べないの」
せっかく君のために持ってきたんだよ。全部君のものだよ。君の落とし物だよ。どうだい美味しそうじゃないかい?
足元に転がる飴玉をひとつ拾って眺めた。無くしたものとはなんだ。どうして新羅が持っていたのか。
「なんでって、臨也、僕の目の前で放り投げたじゃないか」
「そうだっけ?」
「自分のことじゃないか」
「それなら」
なんで放っておいてくれなかったの。わざわざ今になって必要なものでもないはずだ。新羅は足をぶらりと揺らすと飛び降りてきた。カツンと踏みつけた飴玉は靴の裏から飛び出した。もしくは、蹴り飛ばされた。
「いらないの?」
「何かもわからないのに、いらない」
「そう。じゃあ、食べちゃっていいよね」
「・・・お前にはやらないよ」
新羅の指が触れるその前に、思い切り足を降り下ろした。